2013年1月17日

あるお母様からの質問のお手紙に対する返信

あるお母様の質問からやり取りしてるうち、意外と多くのお母様方も同じような不安を抱えているんじゃないかなぁ〜と思い、許可を得てそのやり取りをアップさせてもらう事にしました。
かなり長〜いやり取りになってますが^^; 少しでも何かの役に立てば幸いです。
*お子様の名前を「キナコちゃん(仮名)」としておきます。小学低学年です。

******************************

<私>
お手紙を読ませていただいて、お母様が不安がられてることはよくわかりました。
しかし全部の質問にはっきりお答えできます。

それはすべて初体験であることだからです。

まず冬休み中にリズムが狂ったことは確かにあると思いますが、練習のペースが起動に乗り出した昨年の後半から乱れ始めたと思います。

でも、年末年始スケジュールが乱れるのは当たり前です。
これも経験していけばクリアできます。

何よりスケジュールが狂ったことやお母様が指摘したことでピアノが嫌になってるとしたら、それは大きな原因ではありません。
大きく違うことは内容です。今キナコちゃんはなだらかな坂道から壁に見えかねないステップアップを図ろうとしている段階です。バイエルもバスティンもピアノの森もJAZZも全てです。

だからわからなくていいんです。わからないこと、出来ないことがあっていいんです。わからないからどうしよう、できないからどうやったらいいんだろう、ではなく、わからない、できない現状をレッスンでクリアにしていくところです。

今まではわかるところだけを持ち帰って練習していました。
今はレッスンではわかったつもりでも家に帰るとわからない、わかってなかった、忘れた、となってるはずです。

具体的に言うとキナコちゃんの年代は右脳で弾いているので「なぜ?」という理解力ではまだ弾いていません。だから音も見ているようで、始まる場所がずれたり、指番号を変えられたらまたわからなくなります。それがだんだん学年が上がっていくと勉強のレベルと共に左脳で記憶したり理解したりできるようになると、それも並行して使えるようになります。
(なので中学生は月に二回のレッスンでもなんとか対応できるのです)

ピアノを辞めたいという言葉を、難しいですがもう少し聞き流してあげることは可能ですか?

大人でもそうですから子どもはもっと愚痴りたいと思います。嫌なことを嫌だと、やりたくないことをやりたくないと言える場所があるのとないのとでは全然違います。甘える場所があるから頑張れるんです。辞めたいというのは「やれないから辞めたい」といってしまうのです。
でもやらなければいけない事があることを少しずつわかるのは「やれたv(^_^v)♪」と感じる体験からしかわからないと思うのです。

音符が読めてないかどうかが確定するにはもう少し先です。
というのも同じ質問されてたお母様たちの子どもがいっぱいいるからです。
少なくともお母様たちが心配することもわからないほど子どもの方が早く読むようになります。
そこは流石にすごいです。大人は左脳だけで読みますが、ほぼ運動能力と同じ筋肉で読むので左脳の大人は軽く超えます。

お母様が気をつけていて欲しいのは、凹んでるキナコちゃんを暖かく見守って「大した問題ではないよ、わからなかったら先生に聞きー!」って声をかけてあげてください。
しかも間違いに気づいても指摘しないで我慢してください。

今日のレッスンでも感じたんですが、確実に左脳を使いだして、私が注意していることを考えて練習しています。キナコちゃんの年齢からの進み具合はほぼ平均的です。早いわけではないですが決して遅くもありません。全くそこは心配ないです。練習内容も平均的です。

今年確認したら、本当に小さな頃から見てる子たちがどんどん大きくなって、中学生高校生の数が幼稚園小学生を抜いたので、なんだかびっくりする反面ここまでくるのは大変だったけどやっと自分で楽しめる時期に来たなぁと感心してます。

それはできる事がたくさんあるからではなく「やらなければいけない事をやらないと楽しめない」という事をわかり始めたことだと思います。ピアノを奏でる楽しさは本人以外の人間が与えられるものではないと思います。聴くだけならたくさんの音楽を聴いて楽しめますよね。
奪われるとしたら、楽しさを知るチャンスを奪われないよう、お母様が見守ってあげてください。
『あの時辞めたいと言った自分を止めてくれてたら』という言葉を聞くたびに「甘えるな!」と大人には言いますが、子どもは甘えて当たり前です。

辞めさせる事が理解してあげる事、と勘違いしてしまわないように。本当に辞めた方がいい時は私が言える勇気は持っています。任せてください。

いい質問ありがとうございます。私自身も改めて答えながら確信を持てました。


<お母様>
お返事ありがとうございます。
自分なりにじっくりと考えてみました。

子供だって(子供こそ?)愚痴りたいというのには非常に納得しました。
というのも昨日キナコがピアノのレッスンを嫌がるんじゃないかと職場から早々に帰ったのですが、普通に出て行ったので、もしかして泣いてすっきりしたのかなと思ったので、、
「子供の気持ちを受け止める」というのはわかっているつもりなのに、何度も肝に銘じているのになかなかやりきれていない思いがあります。なのではっきりと言葉にしていただいてとてもありがたいです。ストンと腑に落ちた感じです。

(中略)「自分は子供達を締め付けているのではないのか」という恐怖感があります。

また音大を出てアメリカで音楽の仕事をしている友人から言われた「母親はともすれば子供を支配下に置き締め付けて人生すら曲げてしまう可能性もあるからその子に才能がないなら早めに見切りをつけてあげるのも大事」という言葉がひっかかってるのもあります。(中略)

今回色々考えてみて、子供を締め付けているかもという恐怖感と同時に、キナコが上達できないとそれは私の親力の低さではないかという不安があるのだなと思いました。
特に普段の練習は二人きりでお手本があるわけではないし、他の子がどう進んでいるかもわからないのでそう思ってしまうのかもしれません。

なんだか情けない話になってすみません。
ただピアノの練習の習慣ができてきてから他のことでも自分で管理してできることが増えたように思います。また以前よりやりたいことには(遊びでも)貪欲に取り組むようになった気もします。
まだまだではあるものの毎日の小さい積み重ねが少しづつでも確実に力になっているのを感じるときに自分も幸せだと感じます。

あせらずまた積み重ねていけたらと思います。
見てみたいんです。その積み重ねの向こうに何があるのかを。私とキナコでそこに行けるのかを。


<私>
音楽の才能は、音楽的なものを持っているという事だけではなかなか使い道ないんです。

もちろん無いよりあった方がいいんですが、それより「継続する力」「壁を乗り越えられる力の才能」を子供達から引き出してあげたいと思っています。

おそらく、私なんかよりピアノを上手にしてくれる先生はご万といると思います。でも、私は子供たちにいろんなことに希望を持ってやったらできると思う諦めない気持ちを才能として生きて欲しいです。そんな糧になるものが音楽であればいいなぁと思います。

『継続は力なり』です。


<お母様>
色々と悩む度に少しづつ答えが見つかるように思います。
その結果子育てってシンプルなんだなぁと感じています。

こうなったらどうしようと不安に思って色んな技を投入するより、ただ子供の気持ちや流れに寄り添っていることが大事なんだとやっとわかってきたように思います。

でも一人ではそんなシンプルな答えでもなかなかたどりつけないので気付くための言葉をいただけるのは嬉しいです。インターネットでも子供のピアノ練習についての悩み相談がヒットするのでみなさん多かれ少なかれ共通項目なんでしょうね。
 
 (中略)

春から土日が忙しくなりそうですがなんとか7月の発表会を目標に乗り越えたいです。
なんだか今は先が楽しみです。またつまづくかもしれませんが。。


******************************

by おかみ




0 件のコメント:

コメントを投稿